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2008年11月 8日 (土)

『わしといたずらキルディーン』 1

訳本は10月半ばに急激に売れて、お蔭さまで3ヶ月で再版となった。その後、ある教育団体が「日本中にある幼稚園に配って読み聞かせをしてもらおう」と千冊単位で大量に買ってくださった。友人、知人たちはみな暖かな声援を送ってくれる。身に余るほどのご好意をいただいて、何だか申し訳ないような気分だ。

この物語は、イギリス王室に生まれルーマニア王室に嫁いだマリー王妃の自叙伝的童話で、1922年に初版発行された。初版本は布張りの大型本で、なかを開くと手刷り版画の挿絵の美しさに目を奪われる。初版は30冊しか印刷されていない。マリー王妃はこの物語を英語で書いているが、最終章にはフランス語で記された格言がいくつか引用されている(訳本では省略した)。当時はフランス語を文中に入れることは教養を示すパフォーマンスだったのかもしれない。

両親の手に負えないほど我儘でいたずらに育ってしまったキルディーンは、とうとう高い塔に幽閉されてしまう。そこには21羽の鷲が住んでいた。キルディーンは海や山や天国(キリスト教的な仮想の国)に連れて行かれて試練を受け、精神的自立を果たして両親のもとに戻ってくる。この物語は古くからヨーロッパに伝わるファンタジー形式に則り、後に続くトールキンやルイスの壮大なファンタジー文学の先駆けとなったといっても過言ではないだろう。

読めば読むほど、色々なことが分ってくる物語。マリー王妃の才能と細やかな感性に脱帽です。

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