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2010年1月 6日 (水)

日書展


4日から9日まで上野の都美術館で『日書展』が開かれている。母をはじめとして親しい友人たちが出展しているが、つくづく書道というのは特殊な芸術で、音楽や絵画とは一線を画していると思わざるを得ない。なぜなら、まず字が読めなければほとんど意味がない、ということだ。読み、書いてあることを理解し、それから全体の芸術性に目を移す。書かれていることにふさわしい字体か、また書かれた時代にふさわしい書体か、等々。たとえば、古歌を書くなら字体から読まれた時代を髣髴とさせられなければ滑稽なものになってしまう。音楽や絵画のように感覚的に美しいと感じるだけでは楽しめない。やはり難しいのだ。母の入選作は『方丈記』で、冒頭の言葉を思わせる清らかな川の流れに似た薄い水色の紙の上に繊細な字体で書かれている。友人の作品は紀貫之の歌。
   世の中はかくこそありけれ吹く風の目に見ぬ人も恋しかりけり
貫之はかの悲しみに満ちた『土左日記(とさのにき)』の作者だが、そうか…まだ会ったことのない人にまで恋してしまうような、情熱の貴人なのだなぁ…と、しばし佇む。

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