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2010年4月12日 (月)

馬込文士村

大田区郷土の会の4月の催しは馬込文士村散策だった。
大森駅前の天祖神社に集合したのち、まずは開館して間もない「尾崎士郎記念館」へ。庭に大きな樫の木がある。相撲好きだった尾崎が「鉄砲」と呼ばれる稽古をした古木だ。尾崎士郎といえば作品なら『人生劇場』、私生活では宇野千代との結婚生活が一般的に有名だろう。馬込には長い間にたくさんの文学者が住んだ。多くは戦争などの影響もあり馬込から去っていったが、尾崎士郎は亡くなるまで馬込に住み続けた。
山王草堂は徳富蘇峰が20年近く暮らした所だ。蘇峰は100巻にわたる『近世日本国民史』を著した評論家として有名だが、政治家でもありジャーナリストでもあった。勝海舟との交際も知られている。小説家の徳冨蘆花の兄。
山王草堂を出て、山王で暮らした文学者の足跡をたどって弁天池まで歩く。
私は1980年代の後半から文士村研究会に所属して、講演を聞いたりまだかろうじて残っていた文学者の住んだ家などを見学したりした。北原白秋の家は高台にあるクリーム色の洋館でとても雰囲気のある建物だったし、倉田百三の家の床は凝ったモザイクで埋められ、石のエンタシスの柱が並んだ庭は美しい野菊が咲き乱れていた。研究会はとっくになくなり、今は馬込文士村ガイドの会がある。
それにしても本当に何も残っていない。本当に何もない。文学者が住んだ場所を示した看板さえもかなり傷んでしまった。何だかとても寂しい気がする。

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