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2012年2月17日 (金)

森茉莉・その2

 茉莉さんはかなりの年になってから小説家として開花した。小説はとても特異で、茉莉さんの小説のすぐそばにいる危険な(というほどのこともないか)、不健康な(というわけでもないか)、いってみれば単なるアブノーマルな世界と混同されてしまう、という危うさがある。
 私は、茉莉さんはエッセイの天才だ、と思っている。圧倒的に小説よりエッセイが良い。小説のなかの茉莉さんは、どことなくおぼつかない足取りで、ふわりふわりと歩いている。エッセイに比べてすこーし確固としたものが足りない感じがする。エッセイのなかの茉莉さんはとても生き生きしていて、夢のなかにいながら超現実的だ。人間らしい、茉莉さんらしい、鴎外の娘らしい、はっきりした輪郭を持っている。だから誰にもかき乱されないし、誰にも誤解されない。
 私は茉莉さんの小説もエッセイもほとんど読んだし、茉莉さんの作品に登場する本(たとえば、シュニッツレル・森鴎外訳の『みれん』や『一人者の死』、グレアム・グリーンの『情事の終り』、スパークの『貧しい娘たち』など)も、すぐにアマゾンで古本を手に入れて読む、という気の入れようだ(これは茉莉さんばかりではなく、好きな作家ならみな同じ)。良いと思ったら、何もかもを徹底的に読む、というのが私の楽しみだ。
 映画やテレビやドラマも楽しいかもしれないけれど、やっぱり「本」が好き、なのです。茉莉さんの文章は句読点が多くて、ぶつっと切れていたりするところに、甘い沈黙があったりして、とても素敵。

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