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2012年9月 7日 (金)

『オルノーコ』アフラ・ベイン

 アフラ・ベインは17世紀後半に活躍したイギリスの女流作家だ。シェークスピアがこの世を去ってから25年ほどして生まれた。シェークスピアと同じように彼女も多くの戯曲を書き、あの時代にあって、俗悪を嫌い、因習的な女性蔑視に惑わされず、自由と正義に生きた。アフラ・ベインはイギリスで最初の女流職業作家。生活のために戯曲を書き、小説、詩、翻訳ものなどの作品も多数残した。日本では、女流職業作家の先がけとして樋口一葉が有名だが……。
 彼女はイギリスで黒人奴隷を主人公にしたはじめての小説『オルノーコ』を書いた作家としても知られている。イギリス人船長に騙されて奴隷として売られたアフリカのある部族の王子オルノーコ。王子は結婚しようと誓った美しい娘イモインダを、本当の祖父(父は死んだ)に横取りされたという辛い体験をしている。それでも若いふたりが愛し合っていることが分かると、老王は嫉妬のあまり、いったん妃にしたイモインダを奴隷として売り飛ばしてしまう。ふたたびふたりが出会うのは、お互いに奴隷の身となってからだ。物語の最後、ふたりは逃亡するが追い詰められ、オルノーコは愛する妻イモインダを自らの手で殺し、自分も捕えられて殺される。
 アフラ・ベインは、はっきりと「奴隷制度が悪い」とはいっていないが、「どうも人道的ではないようだ」と疑問を投げかけているように感じられる。1600年代のイギリスに於いて、信じられないほどの精神性の高さだ。

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