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2017年5月19日 (金)

万平ホテル

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まだ桜が咲く前、三島由紀夫の『卒塔婆小町』を読んで、美輪明宏の舞台『葵上・卒塔婆小町』を見に行った。舞台は原作にかなり忠実だった。『卒塔婆小町』は、公園にたむろする99歳のホームレスの老婆……老婆は失望した若い詩人に、深草少将が100夜通ってきたという小町伝説を織り込んでひと時の夢を与える。老婆は美しい20歳の娘に戻って明治の鹿鳴館時代のはなやかな場面を見せる。美しい小町の姿に、詩人は最高の美を見出すのだが、「美しい」と言葉にしたとたん詩人に死が訪れるという、まさに三島の美意識と芸術論の結晶のような作品。

その後、軽井沢の万平ホテルに行った。軽井沢はところどころ雪が残り、夕方になると風が冷たかった。万平ホテルは、三島の『美徳のよろめき』の舞台になったところ。節子が愛人の土屋とはじめて旅行に出てホテルに宿泊し、裸で朝食をとる場面が印象的な小説で、当時は「よろめきドラマ」などという言葉が流行ったりしたものだ。ストーリーとしては平凡だけれど、やっぱりこういう小説は三島しか書けない。私が泊まった部屋は128号室でジョン・レノンが宿泊した部屋だということだったが、私としては、三島が宿泊した123号室で眠ってみたかったなぁ……と思った。

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