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2017年6月

2017年6月 8日 (木)

風呂場解体

DSC_9005

写真は山のホテルのつつじ

 

風呂場をシステムバスにすることにした。

この風呂場を作ったのは、1980年代の終わり。タイル張りの壁や床は、戦前の名残をとどめた老舗旅館のモザイクには及ばないが、今や家のなかで最も「旧館」となってしまった。当時のタイル職人Aさんの仕事ぶりは素晴らしく、縦に横にピンと細い糸を張って、小さなラジオから流れてくる流行歌を口ずさみながら、手際よくタイルを貼っていた。タイルはホウロウの湯船の色と合わせて薄い緑色、高窓の下に、イタリアから買ってきた装飾タイルを嵌め込んでもらった。

ここを作った時、子どもたちは小学5年生と2年生だった。私は最初に、お風呂の掃除は彼らの仕事、と決めてしまった。子どもたちには、毎日責任を持ってやる勉強以外の「仕事」が必要ではないかと思ったのだ。息子たちは交代で一生懸命に掃除し、子どもにしてはとてもきれいにやっていた。雨が降ろうが槍が降ろうが、もちろん試験だからといって私が代わって掃除するということはなかった。これは1995年に転勤で家を離れるまで6年間続いた。上は高校2年、下は中学2年になっていた。

28年前に作った風呂場だが、10年ほど転勤で家を離れていたのでその間は使っていない。まぁ時々、息子たちがシャワーぐらいはしていたかもしれないが。釜は一度取り換え、途中で温風機を付けた。

小さな高窓に、春は桜の花びらが舞い込み、夏は蝉時雨が反響し、秋は虫の鳴く声が忍び込み、冬は木枯らしが窓ガラスを打った。私たちのささやかな歴史を刻んだ風呂場。家族の精神的文化財は明日取り壊される。

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