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2018年1月 9日 (火)

歌集『その名オアシス』

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年末に歌集が送られてきた。『その名オアシス』は志摩の歌人Yさんの歌集。歌集をいただくことも多く、いつも感心しながら頁を繰るのだが、この歌集はどこか特別のものがあり、とても心に沁みた。誠実な、何の媚もない人の心を芯から揺さぶるような歌。歌はどんなに技巧をこらしても、また、読む人をあっと言わせる手法を駆使しても、感動を呼び起こすことがなければ面白くないのだ。
彼女は西伊豆で生まれた。志摩に嫁ぎ、夫と茶房『オアシス』をひらいて懸命に働き、息子2人と娘を育てた。息子は商船学校を出て船乗りに、娘は結婚して海を越えてアメリカへ。彼女は健康で働けることが有難いと言い、食品を扱うプロとして、レトルト食品のまずさを嘆きペットボトルの茶に疑問を投げかける。彼女はひと言でいえば「海の人」だ。因みに父も兄も漁師、姑は海女だ。彼女の五感は海に向かい、心いっぱいに海が広がる。
霞立つ昼の峠に吹く風に海女の磯笛湿り帯びゐつ
音も無く樋を流るる夜の雨ああ訳もなく命いとしも
あとがきに「浜島に移り住んでより折り折り、磯笛峠に立って海を眺めながら故里に思いを馳せます。裸電球一個の雫の落ちて来る薄暗い田子隧道で「明日の高校入試には行かないで」と言った母……」
学歴のなくばひと世を身体張り働きて来しありがたきかな

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