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2018年4月 2日 (月)

オクターブ・ミルボー

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小説家オクターブ・ミルボーはクロード・モネの親友だった。そこで、ちょっと読んでみようという気になり、フランスの短編集のなかにあった『呪われた制服』を読んだ。ある貴族の御者の話だ。正直な若者が、代々受け継がれた古風な御者の制服を身に着けたとたん、過去の邪悪な御者たちと同じように堕落しはじめ、最後は雇い主の貴族を殺してしまう。なかなか象徴的である。さらにもう少し読んでみようと、かの有名な『責苦の庭』(1899年)を読んだ。ミルボーは「この殺戮と流血の文章を、宗教者と兵士と裁判官に捧げる。人間を訓育し、指揮し、統御しようとするものたちに」と書いている通り、反戦論者なのだ。しかし読み始めたはいいが、底知れない気味の悪さに途中から気分が悪くなってしまった。桜の花が散り始めた美しい春の午後、窓辺に座って『責苦の庭』を読むなどというのは……じつにアンバランスで酔狂としか言いようがない。あの時代のフランスで流行した一種の怪奇小説なのかもしれないが…。クララという残虐で卑猥な女が出てきて、中国の架空の町にある処刑場(そこでは無実の人が、筆舌に尽くしがたい残酷な拷問を受ける)の美しい庭園に案内する。庭園の花は処刑されたものの血と肉を栄養にして咲き誇る。その庭の描写がモネのジヴェルニーの睡蓮の庭園にそっくりだというのだ。『責苦の庭』は、澁澤龍彦が初訳しているらしいが、さもありなんである。

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