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2018年7月11日 (水)

映画『えんぴつ泥棒』

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孫たちが通うアメリカの学校で、夏休みに入る前の日(最後の授業が終わった日)、親子で映画を見るイベントがあったらしい。映画は広い芝生の校庭に設えられたスクリーンで見るようだが、ホットドッグやハンバーガー、タコスなどのフードトラックもくるという。日本よりも日が暮れるのが遅いので、軽い夕食をとりながらのんびりと待っているのだろう。
そういえば……私が小学校低学年の頃(1950年代後半)にも、夏休みの始めに学校の校庭で映画鑑賞会があった。自由参加で、確か数回しか開催されなかったと記憶しているが、『えんぴつ泥棒』とういうモノクロ映画がとても印象に残っている。当時、映画やラジオドラマ、童話などによくみられた「学級もの」だった。口数の少ない賢そうな少女が主人公。彼女がクラスの仲間が捨てた短いえんぴつを拾っては持ち帰るので、みな、彼女を奇異の目で見るようになる。そんなある時、男の子の色鉛筆の箱がなくなり、女の子に疑いがかかる。事実を確かめるために担任教師が女の子の家を訪ねると、女の子は短くなったえんぴつで人形を作っていたのだという。ある時、物乞いをする親の傍でえんぴつで作った人形で遊んでいる子どもをみて、そんな子どもたちに贈ろうと人形を作っていたのだと。なくなった色鉛筆はすぐに見つかり、クラス全員が恵まれない子どもたちのために人形を作ることになる、という「思いやり教育」の映画だった。私は子どもなりに(子どもだから)とても感動した。体育館の外壁に張られたスクリーンには、強烈な光に集まってくるたくさんの蛾や羽虫や細かい昆虫の影が行きかい、小さな弟や妹たちは校庭の砂で山を作ったりして遊んでいた。映画が終わると、母に手を引かれて家に戻り、すぐに眠った。あの当時の何ともいえない暗闇の神秘が、子ども心に映画という印象的な夢を残したのかもしれない。

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