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2018年8月23日 (木)

送電線

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ロンドンを出て1時間ほど走ると、丘の上にえんえんと連なる送電線が見えはじめる。それは、巨人が手をつないでいるように見えたり、社会主義者でもあったウィリアム・モリスのデザイン(人々が連なる)を連想させたりする。穏やかな波のような稜線を見せる丘の斜面に、空を駆ける丸い雲の破片が影を落とし、送電線をまたいで丘の向こうに早足で消えていく。美しいイギリス郊外の風景である。
家族の墓地のはずれに大きな送電線が通っている。イギリスのように丘の上ではないけれど、なぜだか私の心を惹きつけてやまない。青空に太い腕を何本も伸ばしている銀色の送電線。じっと見上げていると、その腕に墓地から抜け出たたくさんの魂が並んで腰かけて風に揺られているのを確かに感じるのだ。生きることはエネルギーを燃焼させることだ。私はといえば、人が死んだらそのエネルギーは別の形になって空中に(もしくは地中に)留まり、エネルギーの一部は電気になって遠くへ運ばれるのではないか……というような……そんな妄想を楽しむのだ。
私は自然の中にある人工的なものは好きではない。例えば、リゾートホテルとか遊園地のようなもの(それらが廃墟なら話は別だが)。でもなぜか送電線だけは大好きだ。

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