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2019年4月27日 (土)

伊豆の桜

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今年になってはじめて伊豆箱根に行 った。そういえば、この季節に行ったことはなかった。4月5月、伊豆や箱根の風景は目まぐるしく変わり、さまざまな花がさまざまな緑のなかに咲いては散っていく。4月半ば、伊豆箱根は桜が満開だった。伊豆といえば早春に花開く河津桜が有名だが、熱海桜はそれよりも前に咲く。小さな可憐な花がうつむき加減に咲いて、本当に可愛らしい。子どもの頃、庭の片すみに、細い枝にしがみつくように群れて咲く桜があり、母は小梅桜と呼んでいた。そして小指の先ほどの透き通るような丸い真っ赤な実をつけた。19歳の時にそこから引っ越しして以来、小梅桜は見たことがなく、今は幻のようになってしまったが、伊豆の植木屋さんに子どもの頃そんな桜があったと話したら、それは熱海桜かもしれないですね、といった。

箱根や伊豆の山々は緑が盛り上がるようだ。濃い緑、薄い緑、黄色を帯びた緑、赤色や紫色を帯びた緑が入り混じり、そのなかに、ぼーっと霞んだように薄桃色の桜が点々とみえる。山腹に散らばる別荘の、赤や白や青に塗られた三角屋根や丸屋根がきらきらと春の陽に輝く。山暮らしや田舎暮らしにあこがれて都会から流れてくる人たちの安らぎの家々だ。山のはざまから垣間見る富士山は、真っ白に雪を頂いてそれもまた眩しいほど……、青空にはトンビがゆったりと輪を描いている。これから日いちにちと、薄桃色の花は緑のなかに吸い込まれていくのだろう。

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