植物

2014年7月23日 (水)

西表島の【さがりばな】・余談

 写真は西表島

 台風もたいしたことはなく、あっという間に行ってしまった。
 【さがりばな】をみた翌日、夕飯を食べているとA子の携帯電話が鳴った。電話はレンタカー会社からで、ホテルの駐車場に停めておいた私たちのレンタカーにぶつけた車があるので、今から警察がくるから立ち会ってほしいといってきたという。
 私は直感的に、相手はきっと若い女性の2人連れだろうと思ったが、会ってみるとまさしく思ったとおりだった。関西の方からきたという、どうみても20歳代のとても可愛い女の子たちだ。態度もきちんとしていて言葉使いも完璧。バックして駐車しようとしたところぶつけてしまいました、私の不注意です、本当に申し訳ありません、楽しいご旅行中にお時間を取らせてしまって……などと大きな美しい瞳を輝かせながら謝罪する。(あとで、大手のデパートに勤めていた、年齢は30代半ばを過ぎているということが判明。若く見えたけれど、それならしっかりしているのも頷ける)。いったん別れたあと、ふたりでお菓子を持って私たちの部屋を訪ねてきて、また丁寧に謝っていった。私たちは一応被害者ではあったけれど、気分はさわやかだった。
 でも、もしかしたら、彼女たちは私たちをみてちょっとがっかりしたかもしれない。素敵なイケメンの若者ふたり連れ……と期待していた……などということは……まぁ、あぶないおじさんたちよりはずっとましだったかもしれないが。

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2014年7月17日 (木)

西表島の【さがりばな】・2

写真は西表島

 合歓の花にそっくりな【さがりばな】……夜明け前に開花して、日の出とともに散ってしまう幻の花。数年前にその存在を知り、いつか見たいと思っていた。そのことをA子に話すと、私もつきあうから、といってすぐに計画を立ててくれた。【さがりばな】を見に行ったのは七夕の日だった。これから嵐がくるという予報なのに、天空は満天の星。川面に浮かんで流れていく【さがりばな】をじっと見ていたら、なぜか泡になった人魚姫を思い浮かべたりした。

 私とA子は高校1年の時に出会った。当時、私は有吉佐和子が大好きで、彼女の小説を読みあさっていたのだが、そのなかの1冊に『女二人のニューギニア』があった。小説家の有吉佐和子が友人の文化人類学者、畑中幸子に誘われて、ニューギニアを旅する捧腹絶倒の旅行記だ。現地の人にパンツを縫ったり、酋長に見染められてしまったり……とにかく面白い本だった。
 『女二人のニューギニア』は15歳の私たちのバイブルになった。なぜなら、私は物書きにA子は人類学者になる夢を持っていたからだ。私は有吉佐和子のようになりA子は畑中幸子のようになる、そうしていつか一緒にニューギニアへ行きましょう、と誓い合ったものだ。
 50年近くを経た現在、彼女は生物学者の夫とともに教育関係の仕事をしながら猿の研究を続けている。私といえば、まぁ自分なりに文章を書く毎日である。もちろん有吉佐和子や畑中幸子にはなれなかったかもしれないが、私たちはそれぞれの夢を決して忘れてはいなかった、と思う。
 こうして一緒に、ニューギニアならぬ西表島にこられたのも、何かの巡り合わせなのだろう。

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2014年7月16日 (水)

西表島の【さがりばな】・1

 写真は【さがりばな】

 念願だった西表島の「さがりばな」をA子と一緒に見に行った。
 【さがりばな】は合歓が房になって咲いたような花で、6月から7月が見頃、夜半に開花して夜明けに花を落とす。花は薄桃色と白、葉は椿の葉のような形で合歓の葉とは似ても似つかない。マングローブ林の奥深く、湿地帯に群生して強い芳香を放つ幻想的な花だ。

 午前4時、まさしく真の闇。暗い空に天の川がさざめき、地平線近くにはサザンクロスも輝いている。
 ホテルまで迎えにきてくれたのは、テキパキした若い男性ガイドさん。車で30分ほどで仲間川の河口に着いた。
 橋のたもとから2人乗りカヌーで出発。前の座席にA子後ろに私、ゆらゆら揺れるカヌーにやっと座ったが、いつの間にか流されて、橋げたにぶつかってそのまま真っ暗な海に。「助けてくださーい」とA子が叫ぶ。私は必死になってオールで水をかき回す。それでもどんどん沖へ流される(ような気がして)、いきなり孤独感に襲われた。目の前には妄漠とした暗い海が広がる……「助けてくださーい」とまたもや恥も外聞もなく叫ぶA子のたくましさに感心しながら、次第に冷静になっていく私。根が楽観的な私は、海で遭難する前には、ガイドさんがきてくれるだろうとたかをくくった。でももしかしたらA子が叫んでくれなかったら、ガイドさんも気がつかなかったかもしれない(あとでA子に危機管理意識がなさすぎる、と叱られた)。
 声を聞き付けたガイドさんが、迎えにきて引っ張ってくれたので、出発点に戻ることができた。私たちの他に、若い女性の2人連れと若いカップルがいたが、カヌーを泊めて静かに待っていてくれた。
 最初はなかなかうまく漕げず、前に進まない原因を、遠慮なく相手のせいにしつつ、両岸のマングローブに激突しながら上流へと向かう。ガイドさんはいつしか私たちのことを、親しみをこめて「お母さんたち」と呼び……。やっと皆についていけるようになり、オールの手を休めて夜空を見上げれば、満天の星がさざめくなか、銀粉を流したような天の川が見えた。地上の川はしだいに狭くなり、2時間ほど必死でこぎ進むうちにようよう夜が明けてきて、先ほどまで夜空を瞬間的に染めていた遠雷の稲妻も遠のいて周囲が明るくなってきた。星がうっすらと消えていき、濃厚な匂いがあたりに立ちこめてくる。
 見ると、水面にはかなげな薄桃色の合歓の花が……いえ、合歓ではない、【さがりばな】だ。水面に浮かんで静かにゆっくりと流されていく。三途の川があるのなら、きっとそこにはこの花が浮かんでいることだろう。湧きあがるような鳥の声がマングローブの林のなかから聞こえてくる。時おり近くで、コンという音がするのは、【さがりばな】が水面に落ちる音、静けさが身にしみるようだ。けれども、花房の下に入るとうるさいほどハチの羽音がする。
 2時間半ほどすると夜が完全に明けて朝日が昇ってきた。ゆったりと流れる川面にふわリと浮いた白と薄桃色の【さがりばな】が、くっついたり離れたりしながら川下へ下っていく。私たちも一緒に下っていく。最後には「お母さんたち、上手になりましたね」とガイドさんに褒められ、「今度はカヌーの大会に出なくちゃね」と余裕で返した。
 老体に鞭打っての【さがりばな】とカヌーの初体験だった。

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2013年7月12日 (金)

ギボウシ

 山道に咲いている野性のギボウシの群。夏の日差しに照らされて少し俯き加減……薄紫色の花が可憐だ。
 花の蕾が擬宝珠(橋の欄干などにつけられた蕪に似た飾り)に似ていることからその名がついた。

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2012年7月25日 (水)

野の花

 今日はまた暑くなった。蝉がいっせいに鳴きはじめた。
 トラノオ、ギボウシ、山百合など…夏の野花が可憐だ。

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2012年6月 8日 (金)

八重のドクダミ 

 やらなければならないことに、やっと目どがつき少しほっとしている。去年1輪だけ貰った八重のドクダミが、今年は4輪咲いた。白い十字架のような花をつける普通のドクダミも大好きだが、八重も本当に美しい。毎朝眺めている。桜の木の上でシジュウカラが鳴いている。

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2011年4月25日 (月)

アオマムシグサ

門の脇に茶色の柔らかい筍のようなマムシグサの芽が2本でた。あっという間に伸びて今日見たら一人前の形になっていた。地味で個性的なおもむきだ。マムシグサは山野草、山ではよく見かけるが都会では珍しい。
我が家のものはアオマムシグサでカントウマムシグサともいうらしい。マムシグサと同じ仏炎苞(内穂花序をつつむ大形の総苞)をもつ植物は多く、ミズバショウやザゼンソウなどは有名だ。
秘密ありげでちょっと不気味な表情、何か怖くて美しいものを隠し持っている感じ…そんなところが魅力だ。こういう植物は毒を持っていたりするのでは、と調べてみたらやっぱり思ったとおりだった。毒草は使い方によっては薬にもなるが、これは唯の毒みたいだ。

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2010年11月 3日 (水)

ほととぎすと明がらす


 
 ここ数日、風邪をひき熱を出して寝込んでしまった。今朝は少し気分が良い。ポストの朝刊を取り入れようと、玄関のドアを開けると「ほととぎす」が満開だ。この夏の暑さで葉が少し痛んでしまったが花は素晴らしい。あっという間に今年も11月、時の流れる音が聞こえるようだなどと思いながら空を見上げる。今朝は美しい秋空だ。
 家に入り、お茶でも飲もうとT-Falのポットに水を注ぐ。スイッチを入れると徐々に音が大きくなって沸いてくる。お湯は少しさまして急須に注ぐのだが、温度が低すぎても美味しくない。私は関東の人間なので、熱めのお湯でいれた濃い静岡のお茶が好きだ。お菓子はほとんど食べないが、今日は病み上がりのせいか甘い物を食べようという気になった。遠野名物の和菓子「明がらす」。薄いオレンジ色の生地のなかに黒ゴマが点々と散って、あたかも明け方の空を舞う烏の群れのよう。何て素敵な名前を付けたものだろうと感心する。「明がらす」という名前だけで、優雅で上品な味を想像してしまう。
 「ほととぎす」は花、「明がらす」は和菓子、両方とも鳥の名前なのに、鳥ではないところが面白い。

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2010年8月23日 (月)

山ごぼう


 
庭の一番陽のあたる場所に、今までになかった植物が生えているのを見つけた。初めてみる野草だ。ちょっと気にし出してから4,5日もしたら急に大きくなって白い地味な花を付けた。
山ごぼうですよ、と植木屋さんが教えてくれた。

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2010年6月27日 (日)

ネジバナ

 庭の隅に珍しい花を見つけた。子供のころよく見かけたねじり花だ。いつの間にか消えてしまって何十年も見ることがなかった花が小さな風に吹かれていた。細い茎の周りに螺旋状にピンクの花をつけるラン科の山野草だ。私はねじり花と教えられていたのだが、ネットではネジバナと出てくる。
 子供のころ、夏になると那須の祖父母の家の周りに綺麗なねじり花が一面に咲いた。田んぼに水を引くための水路に沿って、土手をピンク一色に染めてねじり花が咲いていた。夕暮れて漆黒の闇があたりを覆うと、昼のあいだ眠っていた数え切れないほどの蛍が下草のなかから出てきて、渦を巻くように飛び回る。子供の私は、ねじり花は蛍には気がつかないほどぐっすり眠っている…と感じたものだ。

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