レストラン・料理店

2019年1月25日 (金)

日影茶屋

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先日、用事があって葉山に行き、日影茶屋で昼食をとった。日影茶屋といえば、神近市子が嫉妬に駆られて大杉栄を刃物で刺した「日陰茶屋事件」が有名だ。大杉栄はアナキスト(無政府主義者)で自由恋愛論者だったが、あまりにも時代や社会背景が今と異なり、私たち現代人と(というか私と)感覚が違い過ぎて、その思想や心持ちを想像することはなかなか難しい。それでも、「嫉妬に駆られて」は、まぁ良いだろう。関東大震災後に、大杉栄と伊藤野枝が殺害された(6歳の子どもも巻き添えになった)「甘粕事件」となると、もうただ恐ろしいだけだ。信長ではないが「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」なのか……何という凄まじいまでの暴力なのだろう。結局「甘粕事件」の真相は闇のなかのようだし、大杉栄もまた、一筋縄ではいかない人物だったのだろうが…。日影茶屋は300年続いた茶屋(今は料亭)なのだから、様々な出来事があって当たり前、夏目漱石や川上眉山などとも「因縁浅からぬ」店だったらしい。

名物の大福を買って日影茶屋を後にした。海岸にでると冬の海はどこまでも青く、雪を被った富士山が水平線上に霞み、江の島が小さくふわりと浮いているように見えた。

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2010年6月21日 (月)

時しらずが美味しい

 「魚を食べる会」に3回目の参加。今回は時しらず。時しらずは季節外れの5月から7月にかけて北海道で獲れる若い鮭のこと。午前中に、グルメ漫画『築地魚河岸三代目』のモデル小川さんや『築地王』小関さんの案内で、私を含めて7人ほど、築地の場内、場外を見てまわる。30年以上前、特別の許可をもらって、素人には絶対に入れないといわれていた場内市場に入れてもらったことがあるが、今は誰でも入ることができる。
 時しらずのコース料理は本当に美味しかった。何もかも美味しかったが、特にルイベにしたお刺身(写真)は絶品だった。ところでルイベというのは「凍らせて食べる」という意味のアイヌ語だそうだ。

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2010年3月20日 (土)

サクラマスが美味しい

「魚を食べる会」に参加する。前回の鰆に続いて今回はさくら鱒。築地の『魚河岸三代目・千秋はなれ』のご主人小川貢一氏は、小学館発行のビッグコミックに連載されているグルメ漫画『築地魚河岸三代目』のモデル。小川さんの説明によると、さくら鱒はヤマメと同じ魚で、川で育ったものをヤマメ、海へ出て育ったものをさくら鱒という。ヤマメは25センチほどだが、さくら鱒は3kgほどの大魚になり2年から3年で川に戻ってくる。3月4月が旬。なぜさくら鱒というかといえば、桜の咲くころに獲れるからとかきれいなさくら色をしているからとかいくつか説があるそうだ。さくら鱒をつかったものとしては富山の鱒ずしが有名だということだ。
写真はさくら鱒のルイベとほたての刺身と卵。天然の鮭鱒は生では食べない。一度冷凍して解凍(ルイベ)して食べる。めかぶとホタルイカの先付も美味しく、塩焼き、唐揚げも絶品だった。

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2010年2月20日 (土)

サワラが美味しい

某「魚を食べる会」に参加する。築地の魚料理専門店で鰆(サワラ)を食べる会だ。お店のご主人の説明があり、サワラは出世魚でサゴシ、ヤナギ、サワラと名を変えると聞いた。お刺身には獲れたばかりの福岡産、塩焼きと鰆すき焼きには少し熟成させた長崎産。お刺身は背の部分は焼き、腹の部分は湯引きするということだった。湯引きとはさっと熱湯にとおすか熱湯をかけること。前菜には鰆の燻製、カキの塩ゆでも登場。鰆うどんすき鍋は玉ねぎ、黄ニラ、マイタケ、それと鰆で、かなり甘めの照り焼き風味で卵をつけて食べる。魚の臭みを消すネギやニラ、それを緩和するキノコ、料理は組合せのアイディアが大切だ。すべて美味しかったが、やはり刺身は絶品だった。
鰆はサバ科の魚。旬は11月から3月。鰆のすき焼きは岡山の郷土料理(漁師料理)だそうだ。昔は2月3月に沿岸に近づいてくる鰆を獲っていたが、今は漁船も良くなり、遠くまで漁に出られるようになって、旬の時期も長くなったという。もともと暖かいところで獲れていたが温暖化の影響で10年ほど前から東北でもとれるそうだ。

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2010年2月17日 (水)

神田「竹むら」

久しぶりに神田にいき「Yそば」でおそばを食べたが、昔ほど美味しいとは思わなかった。もう40年以上前からの行きつけの店だが、この数年は足を運んでいなかった。美味しいと思わないのは、おそばの味が落ちたのか、私が年をとって食欲がなくなったのか、それはわからない。
いつものおきまりのコースで帰りに「竹むら」に立ち寄る。甘処の店で、昭和初期に建てられた昔ながらの建物は風情がある。これもおきまりの「揚げまんじゅう」を食べて店を出る。今にも雪が降り出しそうな空模様だった。

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2008年10月 9日 (木)

フレンチレストラン・「龍土軒」

「龍土軒」は麻布の龍土町(現在はその地名はない)にあることからその名がついた。創業1900年(明治33年)、上野の「精養軒」と並ぶフランス料理草分けの老舗だ。

ここは明治、大正の文化人の溜まり場(サロンのようなもの・「龍土会」と称する)として名を馳せたところ。まず岩村透が美術家を集めて「龍土会」の基礎を築き、それ以来、柳田国男を中心に国木田独歩や田山花袋などの文学者が集まり、さらに正宗白鳥、島崎藤村をはじめとする自然主義の文筆家が多く出入りするようになった。軍人にも縁が深く、乃木希典は開店以来の顧客だったし、麻布連隊に近かったことから、2.26事件に関与した青年将校たちのお気に入りの店だったともいう。

予約しておいた6時に少し遅れてしまったが、ちゃんと奥さんが店の前に立って私と母を待っていてくれた。小さな店だが窓に深紅のビロードのカーテンが架かり、ワイン棚が柔らかな照明に浮かび上がっている。魚のコースはパテ、冷たいコンソメ、白ワインソースをかけたスズキとサラダにパン。肉のコースはホタテのグラタン、冷たいコンソメ、牛肉のステーキとサラダにパン。ともにデザートとコーヒーが付いている。

今や日本のフレンチは、本場フランスより美味しく見栄えが良いと評判だが、どこへ行ってもあまり相違は感じられない。舌先だけの美味しさは空しく、大きなお皿にかっこよく派手に盛り付けられた料理もなんだか見ているだけで疲れてしまう。「龍土軒」のフレンチはそこへいくと媚びもへつらいもなく気に入った。ねぇ見て見て見て、ねぇ美味しいでしょ美味しいでしょ美味しいでしょ、というおしゃべりなフレンチではなく、寡黙でどっしり腰をすえたフレンチ…けっこう濃厚なのだが、あとで喉が乾かない料理は本物だろう。

デザートとともにご主人の4代目シェフ岡野さんも登場。奥さんと4人で、フランスのことやお料理の話に花が咲き、大分長居をして、おふたりに見送られて店を出る。水曜日のせいかお客は私と母だけ。今年80歳の母は、「私たちだけのためにお料理を作って下さったのね、心が籠もったお料理だったわ」と、満足げ。

当初の場所から40年ほど前にこちらに移転したが、ここもあと数週間で改築のために閉店、2年後にこのままの規模でここに新しい店を開店するという。

ちなみに龍土町といえば、江戸川乱歩の小説『人間豹』に登場する場所。明智小五郎が文代と結婚して龍土町の小さな西洋館で探偵事務所を開く。御影石の門柱には「明智探偵事務所」という真鍮の看板が掲げてある…ホームズの探偵事務所があったとされるロンドン、ベーカーストリートの賑わいをふと思い出した。

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