博物館・美術館・図書館

2012年6月18日 (月)

高橋由一展

 東京藝術大学大学美術館に『高橋由一展』を見にいく。一日中雨が降り続いたが出かけて良かった。高橋由一はすばらしく絵が上手い。巨匠と呼ばれる画家のなかでも、これほど写実にすぐれた画家は他にいないのではないかと思うほどだ。
 荒縄で吊るされた『鮭』の絵が有名だが、『墨堤桜花』と題された絵の前でふと足をとめる。どこか懐かしいような心惹かれる絵。明治11年(1878年)ごろ描かれたものという。画面、左手の堤に沿って、満開の桜の下で花見をする人々が描かれている。和服を着て髷を結った女性たちが談笑している。桜の花びらが右手の沈んだ川面にはらはらと散っている。それだけの絵だ。
 じっと見ていたら、ああそうだ、『墨堤桜花』の懐かしさはターナーのリッチモンド・ヒルの絵を連想したからだ、と思った。「プリンス・リージェント(後のジョージ4世)の誕生日・4月23日」と題した絵で、その日はターナー自身の誕生日でもあった。ロンドンのテート美術館にある。『墨堤桜花』よりも60年くらい前に描かれたとても大きな絵で、構図以外はあまり似ていないのに…なぜだろう。絵を見る気持ちなんてそんなものなのかもしれない。

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2010年7月 2日 (金)

国会図書館

 大正5年(1916年)から7年(1918年)にかけて発行された『早稲田文学』を見るために国会図書館にいく。その頃掲載されたはずの祖父の小説『夜霧』を読みたいと思ったのだ。受付でカードを作りパソコンで検索し、やっとマイクロフィルム12巻を出してもらった。1巻に3~4号分の資料が入っているのでだいたい40号分ある。ちょうど半分ほど調べたところで祖父の小説『夜霧』を見つけた。『早稲田文学』第2期・152号の巻頭2ページ目から61ページまでに掲載されていた。大正7年(1918年)7月号だ。大正7年当時の『早稲田文学』には錚々たる名前が並んでいる。小川未明、高村光太郎、与謝野晶子、本間久雄、長谷川天渓、水谷勝、岡田三郎、森田多里、吉田紘二郎、原田實など、あげればきりがない。
 マイクロフィルムで資料を見たのは初めてだったが、リールに取りつけて手動で回しながら検索する。それにしてもマイクロフィルムというのは何だかちっとも有り難くない。現実みがないので、まるで写真だけ見て素敵な男性に恋してしまったようなもどかしい気分。やっぱり書物が良い。紙の重みや匂いや手触り、すべてが私を明るく広い世界に導いてくれる。マイクロフィルムは資料保存の点では良いのかもしれないが、どこかの古墳みたいに出してみたらカビだらけ、なんてことだってなきにしもあらずだ。
 高校時代の友人H子さんが国会図書館で仕事をしているので、一緒にお昼を食べましょう、ということになった。1時間のお昼休みだったが、久しぶりにおしゃべりして楽しかった。

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2010年3月24日 (水)

林芙美子記念館

今朝、桜がいくつか花ひらいた。去年の今ごろはどうだっただろうかと日記を開いてみる。3月24日に桜の記述はない。4月8日、Yさんと一緒に『林芙美子記念館』に行ったとある。「庭に大きな桜の木が数本あり、開け放たれた和室の中にまで花びらが舞い込み、畳の上にも散っている。芙美子の最後の家は優雅な日本家屋で、庭も風情がある。お風呂は檜、台所の流しは鉄平石、書斎や寝室や茶の間、出版社の人々や客を待たせたという大小の和室も贅沢な素材を使って建てられている。芙美子は昭和26年、心臓麻痺で46歳で没した。…それにしても絶え間なく桜吹雪が降りそそぐ」
今年は桜の開花がはやい。今日は一日中雨だったが夕方には午前中よりもっと多くの花がひらいた。

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2009年2月 3日 (火)

理科ハウス(2)

理科ハウスに行った。京浜急行の神武寺駅を降りて5分ほど歩く。石原純の孫に当たる森裕美子さんが記念館として建てたものだ。森さんは友人Hさんの妹さん、石原純の遺品や手紙、本などを整理して保存している。「ものはあるべきところになければ意味がない」とは私を案内してくれたHさんの奥さんの弁。今回は館の2階の展示されている手紙類の展示を見ることが目的だった。妻や子どもたちに宛てた手紙や葉書、伊藤左千夫や斉藤茂吉、寺田寅彦などから、それに大学教授を辞職する原因になった原阿佐緒からの手紙などだ。

石原純は1881年東京生まれ。アインシュタインの弟子で相対性理論を日本に紹介した物理学者だが、アララギの歌人としても有名だった。純の和歌には句読点が打ってある。「鉄瓶に煮え残る湯を茶にいれて鹹味おぼゆる雨の日なりけり。」また、「美くしき数式があまたならびたり。その尊とさになみだ滲みぬ。」という物理学者らしい歌もある。

階下には珍しい虫がいた。クマムシとハリガネムシ。クマのような格好に見えるクマムシは0.1ミリの小生物で、顕微鏡で見ると何とも愛嬌があって面白い。ハリガネムシは針金のように細く、ヤゴやカマキリに寄生して成長する摩訶不思議な虫だ。

ドイツに留学しアインシュタインが来日した際には通訳をした石原純、その孫のHさんは昨年末からドイツに駐在している。不思議で大いなる遺伝子の存在を感じる。

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2008年10月11日 (土)

理科ハウス

日本にアインシュタインの「相対性理論」を紹介した物理学者、石原純。彼はアインシュタインの弟子で、来日の際、通訳をしたことでも知られている。石原純は『アララギ』の歌人としても著名で、後に独自の歌論を打ち立てた。物理学者と歌人という二足の草鞋を履きながら、双方とも一流という天才的な人物だ。

ずっと昔から親しくしているHさんご夫妻、そのご主人が石原純の孫にあたる。この5月、妹さんがお祖父さまの意思をついで、逗子に「世界で一番小さな科学館・理科ハウス」を開館した。Hさんご夫妻は、祖父の意思をついだ妹と、祖父の訳書を新訳した私は、まったくおなじようだと微笑む。

年明けには「理科ハウス」で【石原純企画展】が催されるというので、是非拝見したいと思っている。

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