昆虫

2017年8月12日 (土)

巣をかける蜘蛛

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久しぶりに蜘蛛が巣をかけるところを見た。40分ほどで大きな美しい網ができあがった。林のなかに佇み、白い霧を含んだ蜘蛛の糸が鈍く光っているのを眺める。網に比べて蜘蛛はそれほど大きくはない。多分、珍しくもない蜘蛛なのだろうけれど、あまり見たことがない。女郎蜘蛛や家幽霊蜘蛛はよく見かけるが色や形が違うし、草蜘蛛は網の形が違うから、この蜘蛛はなんだろう……。それにしても、一心不乱に網をかけていく姿は感動的だ。

私が子どもの頃には、東京の大田区にも自然があって、わが家の庭にもヘビやトカゲがいて、よく石の下に小さな白い卵を見つけたものだし、夜はガラス戸にヤモリが張り付いていた。無花果の木にはカミキリ虫がギイギイ鳴いていたし、チョウやトンボやハチが花壇の周りを飛び回り、裏庭には蟻地獄があった。みな大好きなamigoだった。その中でも、私は蜘蛛に一番興味があった。それは私にとって一番「不思議な生き物」だったからだ。あんな小さな体から長い白い糸が出てきて、それを道具も使わずに上手に編み上げて餌を捕る。なんて素晴らしい!本当に!!

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2012年11月13日 (火)

セアカゴケグモ

ベランダのセアカゴケグモ・1997年シドニーで撮影

川崎でセアカゴケグモが見つかったとニュースで聞いた。日本では15年以上前に大阪ではじめて発見されたが、その後も生息していたらしい。セアカゴケグモはレッドバックと呼ばれ、オーストラリアではよく知られた蜘蛛だ。毒蜘蛛なので気をつけなければならないが、ファネルウエブよりは毒性が弱い。
オーストラリアでは、蜘蛛を見たとたん家族全員で心ゆくまで踏みつぶす、という光景をよく見かける。何でもない普通の蜘蛛まで、ただ蜘蛛というだけで、まず父親が次に母親と子どもたちが…と、紙みたいになるまで踏まれなければならないなんで、本当に気の毒だと思ったものだ。
一度、我が家のベランダでもレッドバックを見た。そうめったに出てくるわけではなかったので、ジャムの空きビンに入れて棚の上に置き、1週間ほど眺めていた。8本の細い漆黒の足、丸い小さな背中に紅の星を置いて、何を考えているのかわからない神秘的な雰囲気を漂わせながら、時々その長い足を幽かに震わせている美しい昆虫。ファネルウエブの毛むくじゃらでいかにも悪そうな風情とは違って、本当にチャーミングだった。

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2010年8月22日 (日)

セミ

先日、京浜東北線に乗っていたら、どこから紛れ込んだのか一匹のアブラゼミがジージーと大きな鳴き声を上げながら飛び回っていた。70歳代に見える男性がつかまえて、手に包むようにして次の駅で下りて行った。改札を出て放してやるつもりなのか、それとも孫にお土産かな、などと考える。
日本はセミの国だ。都会に住んでいても朝から晩までセミの声が聞こえている。今年も8月に入って急に鳴き始めた。セミを知らないロンドンの人たちは、こんなに小さな虫がこんなに大きな声で鳴くことに驚くことだろう。ヨーロッパではセミやトンボはあまり認識されなかった。アール・ヌーボーやアール・デコなどという新しい美術の流行がセミやトンボのデザインを作りだした。

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2010年4月 8日 (木)

金色の蜘蛛

写真中央の小さな虫が金色の蜘蛛
(注:チョウはレースのカーテンです)

今日は久しぶりに良い天気、綺麗な金色の蜘蛛が玄関の窓に網を張っているのを見つけた。見たことのない小さな蜘蛛できらきらと陽光に煌めいている。一生懸命巣を作っているので、糸も金色かしらと思って見ていたが、やっぱり白い普通の糸のようだ。よくよく見るとお腹だけは光っていないようだが、本当に全身黄金色だ。どういう素生の蜘蛛なのだろう…。

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2010年2月25日 (木)

フユシャク

冬の夕暮れ、庭を歩いたり、ちょっとした公園を散歩しているとき、足元からはらはらと飛びあがる小さな蛾に気づいたことはないだろうか。私は深く考えることもなく、秋の最後に卵からかえった蛾だと思っていた。地味で力なく薄暗い地面を這うように飛び回る。もっと暖かな季節に生まれてくればよかったのに…今ごろ生まれてきても、命も短く繁殖もできないのだろうと可哀そうに思っていた。
しかし、そうではないということがわかったのだ。今朝のNHKにフユシャク蛾の研究をしている中島秀雄さんが出演していた。説明によると、フユシャク(冬尺)という蛾は冬に活動する蛾。成虫になると餌をいっさい取らない。なぜなら水分は凍結しやすいからだという。何も食べずにひと月活動し、-20度でも生きられるという。メスの羽は退化しているので木にとまったまま飛ばない。オスはメスのフェロモンにひかれて近寄ってくる。天敵の少ない冬を選んで生活する珍しい蛾。そんな蛾がいるなんて、本当に昆虫ってなんて不思議なんだろう。

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2009年7月26日 (日)

夏空にセミが鳴く

夏空にセミが鳴く

やっと夏らしくなった。風が強いせいか空が真っ青。朝から盛大にセミが鳴いている。毎年梅雨が明けるとミンミンゼミがいち早く鳴き出し、アブラゼミ、クマゼミと続き、ツクツクホウシが鳴くと秋風が立つ。

セミはヨーロッパではとても珍しい虫だ。南フランスでは海岸沿いの避暑地でお土産用の刺しゅう布の柄や木彫りになっている。セミはイギリスにはいない。緯度が高いせいだろうか。スペインにはいた。スペイン語でシガーラといい子供たちの人気者だ。

以前、誰のエッセイだったか忘れたが、テームズ川のほとりを散歩しているとセミがあちこちで鳴きはじめ、祖国で過ごした少年時代を思い出した、というようなことを書いている人がいたが、それはあり得ないことだ。彼は少年時代のことを書きたかったのだろうし、その導入部分としてテームズのほとりを歩きながらセミの声を聞いたことにしたかったのだと思うが、私たちが常識だと思っていることが勘違いだったりすることがよくあるのだから、気をつけなければならない。ようするに面白く読ませようと、思いつきやアイディアだけで文章を書いてはいけないのだ。やはりどんなことがあっても事実に反することを書いてはいけないと私は思う。

東京はさすがにヒグラシの声は聞こえない。夏の朝は降るようなヒグラシの声で目を覚ましたいと思うけれど、それは贅沢な望みだろう。

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