書籍

2016年7月23日 (土)

『じゃがいも』金子わこ・訳

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金子わこは、中国文学翻訳家、私の高校時代の同期生だ。東京外語大の中国語科を卒業。折しも1972年の中国国交正常化、三越デパートで10年間中国との貿易実務に携わった。結婚後退社し、1988年、夫の転勤に伴って3人の子どもとともに北京へ。そして5年間滞在。帰国後は、翻訳家として、また中国文学研究家として活躍。いくつかの大学の中国語の講師。著作も多い。

数年前に卒業後はじめて正式な同期会がひらかれたとき、お互いに境遇が似ていたので意気投合し、親しく話しをした。その時、彼女は私と違って「筋金入り」だと感じたものだ。2007年に出版した訳書『じゃがいも』を是非読んでほしいといわれ、私も同じ2007年に出版した英文学エッセイ『チップス先生の贈り物』を是非読んでね、といった。

今月初め、2回目の同期会がひらかれたが彼女の姿はなかった。彼女に会いたいと思っていたので、ちょっと寂しかった。彼女もきっと忙しいのだわ、と思った。けれども同期会も終わりの頃になって、彼女の親友から、彼女がひと月前に突然この世を去ってしまった、と聞いた。突然、何の前触れもなしに……。

『じゃがいも』は名訳である。1960年代に生まれた7人の中国現代作家の短編10編を選んで翻訳している。彼女の日本語は正しく美しい。訳文の日本語は読むに堪えないものも多いが、まれにみる正確さと美しさだ。原作者の気持ちが伝わってきて思わず涙があふれてくる。私たちの時代より少し後に生まれた人たちだが、日本とはまったく違う環境で育った作家たちに、彼女は深い愛情を抱いていた。

ひとりでも多くの人にこの本を読んでもらいたい、と心から思う。

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2013年11月22日 (金)

わし姫物語

 集英社みらい文庫から昨年10月に出版された『わし姫物語』の拡大写本。
 京都の霞会館が福祉事業として施設や病院に贈るためにボランティアでつくってくださったものだ。
 有難うございました。

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2012年7月18日 (水)

バーン=ジョーンズ



 先日、『バーン=ジョーンズ・生涯と作品』を著者の川端康雄さん(加藤明子氏共著)からご恵贈いただいた。とても美しい本で、内容も詳しく、それなのに分かりやすく解説されている。
 私はバーン=ジョーンズが大好きで(どちらかというとモリスやロセッティーよりも)、ロンドンのヴィクトリア&アルバートやテート・ブリテンばかりではなく、イギリス中に散らばる教会のステンドグラスなどの作品も見て歩いた。折しも東京でバーン=ジョーンズ展も開かれている(NHKで紹介していた)ので、友人たちにも勧めている。

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2012年1月12日 (木)

『永遠の〇』・百田尚樹

 『永遠のゼロ』を息子に勧められて読んだ。何人もの戦争体験談のようなものが小説のなかに綴られている。特攻で戦死した祖父のことを調べるうちに戦争がどんなものだったかを次第に理解する若い姉弟。姉と弟の会話にこのようなものがある。
 「…戦争で本当の犠牲になったのは普通の兵隊だったんだね…」
 「…日本軍は強気一点張りの作戦をとっていた…」
 「…強気というより無謀、ガダルカナル、ニューギニア、マリアナ沖、レイテ沖、インパールでも、ここで忘れちゃいけないのはこれらの作戦を考えた大本営や軍令部の人たちにとっては、自分が死ぬ心配が一切ない作戦だったこと…」
 「兵隊が死ぬ作戦ならいくらでも無茶苦茶な作戦が立てられるわけか」
 「そう、ところが自分が前線の指揮官になっていて死ぬ可能性がある時は、逆にものすごく弱気になる。勝ち戦でも反撃を恐れてすぐに退いたのよ」
 さらに作者は、日本の軍隊は今の官僚組織に似ている、海軍ばかりではなく陸軍も同じ、また、戦争を促したのはマスコミの戦争讃美だとし、ほかに軍艦惜しさに兵隊をたくさん犠牲にした例なども挙げている。
 ここに到って、私は、まるで廃炉にするのが惜しくて大事故を招いてしまった福島のようだと思った。小説の姉弟の会話を「原発をこれ以上続けるなんて強気というより無謀」「それは原発を推進する人たちには自分が犠牲になる可能性が殆どないから」「可能性がある時はものすごく慎重になるのは目に見えている」と置き換えてみたらどうだろう。いつの時代も人間の浅ましさは変わらない。

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2011年8月 8日 (月)

『フロイトと日本人』北山修編著

 10日ほど前、岩崎学術出版のHさんから寄贈本が送られてきた。『フロイトと日本人』北山修編著。昭和初期に日本の精神分析学の礎となった4人の精神分析学者(矢部八重吉・丸井清泰・古澤平作・大槻憲二)がフロイトと交わした書簡と精神分析への抵抗…というもので、論文は土居健郎に及んでいる。
 北山修さんは10年以上前にニューヨークの図書館で日本人の精神分析学者からフロイトに宛てた手紙のコピーを発見した。今回それらを1冊の本にするために、写真や資料を探していたので、微力ながらご協力した。
 内容も分かりやすく装丁も綺麗な良い本だ。表紙にはフロイトから祖父大槻憲二に宛てたピンク色の紙に書かれたドイツ語の手紙と封筒が載せられている。オビには「先駆者たちがフロイトと交わした数々の書簡、及びその他の記録から、精神分析への強い愛と不安ゆえの、誇り高い抵抗と心理的葛藤を読みとることができる」とある。
 ご興味のある方は是非お読みください。またこの本に関して北山さんが9月12日と19日にFMラジオ(11:00PM)でお話しされるようです。

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2010年6月11日 (金)

『ジョージ・ベストがいた』川端康雄

 先日『ジョージ・ベストがいた』(平凡社新書)を著者の川端康雄さんから頂いた。英文学者の川端さんは大のサッカーファン、マンチェスター・ユナイテッドの伝説的サッカー選手ジョージ・ベストの生涯と記録を調査し1冊の本を著した。
 ジョージ・ベストは「5人目のビートルズ」とまでいわれた人気者、1946年に生まれ2005年59歳で没した。北アイルランドのベルファスト生まれのアイリッシュだ。「マンチェスター・ユナイテッドのファンとして彼と同じ背番号7を身につけるのは誇らしい瞬間だった」とはベッカムの言葉。
 今日からサッカーのワールド・カップがはじまる。サッカーに興味のある方は是非お読みください。

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