宮川ひろ

2010年10月 9日 (土)

ミョウガ

 夏の終わりにA子さんからミョウガを沢山いただいた。甘酢漬けにしたり味噌漬けにしたりして楽しんでいる。
よく「ミョウガを食べると物忘れをする」などといわれるがこれは本当ではないらしい。中国の故事からきていると聞いたことがある。
 先日、宮川ひろさんの講演会があった。最後にお話をひとつ、といってミョウガの話をして下さった。
 ある宿屋にお金持ちの商人がやってきた。商人は部屋に置くよりはと、お金のたくさん入った財布を宿の主人に預ける。主人夫婦はお金に目がくらみ、これを自分たちの物にするにはどうしたら良いだろうと相談した挙句、ミョウガを食べさせれば預けたことを忘れるだろうと考える。夫婦でミョウガ料理をたくさん作り、一緒に夕飯を済ませた。次の朝、商人は宿を出るとき、お財布を預けていることを思い出し、それを持って旅立っていった。宿の夫婦はがっかりしたが、それよりもっとがっかりしたのは、すっかり宿代を貰うのを忘れていた、というもの。ミョウガの効用?は宿の夫婦にあらわれたというお話だ。これは落語にもなっている有名な話らしい。

 ミョウガは以前、普通の八百屋さんやスーパーには売っていなかった。近ごろはどこでも売っている。私はミョウガだけでなく香味野菜が大好きなので有り難いことだ。

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2010年9月21日 (火)

宮川ひろ講演会

 深川江戸博物館の小劇場で宮川ひろさんの講演会があった。今年のお誕生日で88歳になる宮川さん、1時間半以上も穏やかで独特な口調で聴衆に語りかける。2年前に初めてお会いし、私の訳書も読んで下さり、それから何通か手紙をやり取りしたが、それぞれの手紙も心のこもった優しい丁寧な文面だった。
 宮川さんは25件しかない川沿いの集落に生まれ育った。本も絵本もなく幼年時代を過ごしたが、冬の炉端で大人たちが話してくれた楽しい話のひとつひとつが輝くような作品(童話)だったという。私は小学生の頃から、宮川ひろさんのファンだ。今回もまた子供に語り聞かせることの大切さを教えて頂いた。
 2010年になって宮川さんは新作童話を2冊出版している。そのひとつ『さくらの下のさくらのクラス』を読んだ。非常にリアリティーのある童話だ。昨今はファンタジーばやりだが、この作品のように人としてどう生きるべきかということを丁寧に教えてくれる童話が、本当はとても大切なのではないだろうか。

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2008年9月22日 (月)

憧れの宮川ひろに会った

子供の頃から宮川ひろの童話が大好きだった。最初に読んだのは小学生の頃、坪田譲治主催の童話機関誌『びわの実学校』に掲載された最も初期の作品。その後、『るすばん先生』『先生のつうしんぼ』など代表的なものはもとより、殆んどの作品を読んできたが、特に好きなのは『夜のかげぼうし』など、戦争中の子供たちの様子を描いた一連のものだ。

宮川ひろの話を聞きたいとずっと思い続けてきたが、なかなかチャンスに恵まれなかった。やっとネット検索で講演会の記事を見つけ、半年も前に予約した。

20日の土曜日、場所は深川江戸資料館の小劇場。宮川ひろさんは今年85歳。優しく穏やかな面差しを、澄んだ水のような精神が支えている……そんな気がするたとえようもなく美しい方だった。2時間近いお話の中で印象的だったのは、ご両親の話だ。ひろさんは群馬県で農家の末っ子として生まれた。「夜になると、家族それぞれが今日あったできごとを話すんです。私たちはいろりの傍に座って、順番に一生懸命に話します。すると父が私に、今の話は面白いから立ってもう一度話してごらん、というんです。私は子供でしたから、とっても嬉しくなって、まるで舞台の上に立って話すように緊張して同じ話をするんですね」…。「良い話をする」ということはとても難しいことだ。それは「良い文章を書く」ことにもつながる。

講演の始まる前、少しの時間お話しする機会を得た。坪田譲治の高弟のひとりである宮川ひろさんに、私も坪田譲治先生にお会いした時のことや、創作童話を『びわの実学校』に載せていただいたことなど上手に話したかったのだが、緊張してあまり自分の想いを伝えることができなかった。でもひろさんはすごく優しい眼差しで私を見つめてくれた。

…良かった…

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